「ひとりでも生きていける時代に、つながることの価値とは?」
この問いがSNSに流れてきた。
WEBマガジン「greenz.jp」が運営する「コミュニティの教室」の募集ページに載っていた、この言葉。
捉えどころのない「コミュニティ」という存在をじっくり探求できるいい機会だと思い申し込んでみた。
今回は、実際にこの教室を受講してみて感じた感想と共に、そこで得た学びをレポートしてみたいと思う。
これからコミュニティに入りたい人や、はじめたい人、運営している人、そして人と人のつながりを深めていきたい人は要チェックです。
受講スタイルがユニークなコミュニティの教室
基本の講義は、ゲストをお呼びし参加者は一堂に集まってのゼミ型クラス。
でも現地に行けない人は、ビデオチャット「Zoom」を使って参加する。
今回の2期クラスでは、地方や海外からの参加者も多く、感覚値では3分の1以上が首都圏以外に住んでいる方だったと思う。
これからの学びの場は、インターネットを使えば距離は関係ない。
この教室自体がこれからのコミュニティの在り方の実験台でもあった。
以下、月2回のワークショップを半年実施した。
毎月第2木曜日 毎回ゲスト講師をお招きし、講義を行います。大きくわけて3つのジャンルで学んでいきます。コミュニティの理想の状態を考える概念的な回、ファシリテーションやコミュニティオーガナイジングなど実践的なノウハウを学ぶ回、いいコミュニティ事例から学ぶ回の3つです。コミュニティ活動に関わるメンバーばかりになると思うので、講義後半のQ&Aも濃い時間になるのではないかと楽しみにしています。会場に来れない方のためにライブ配信と映像のアーカイブも行います。ライブ配信中、オンラインメンバーはビデオ会議ツール「Zoom」でコミュニケーションを取り合いながら受講できます。(オンライン専属のスタッフがついて進行をサポートします) |
毎月第4木曜日 ビデオ会議ツール「Zoom」を使って、受講生同士で学び合うオンライン勉強会を行います。毎回、選ばれた5人の受講生に取り組んでいる活動と、それに伴う課題や悩み、問いを発表してもらい、グループワーク形式でみんなで考えます。 |
コミュニティづくりを実践している講師から学ぶ
■1回目ゲスト 鈴木菜央さん(グリーンズ/greenz.jp)
コミュニティの作り方、コミュニティで大事なことを教えていただいた。生かし合うつながりのデザインとして、自然界(森とか海とか)がコミュニティのいちばんのモデルケースだなぁと思いました。
・妄想する ・成功例にたくさん触れる ・つぶやく ・北極星をみつける(この感じいい!という瞬間) ・よく観察する(人、時間、場所、参加者などの資源。どんな時に面白そうか) ・小さくやってみる(まずやってみる。面白ければ人が人を呼んでくる) ・食事からはじめる(会に来る理由になる) ・心から(心から話す、心から聞く ※大人になるとその経験が少ない) ・文脈を共有する(どんなところを大事にしているのか、経験や思いを共有) ・ビジョンを共有する(これからどんなことをしたいのか) ・多様性を活かす ・最高に単純なシステムで最大の収穫を得る(お金をかけないとか、無人にするとか、困った時に助け合えるとか) ・みんなのニーズを満たす(例えば、この会議が終わったらどうなっていたい?と聞いちゃう。イベントしてもゲストが喋るだけだと満足度は下げる) ・少しずつ手を入れて育てる(サポートに入る時、手を入れる時、頑張らない時など) ・中心を作らない(北極星を指し示す人は大事だけど、その人がいないと成り立たないようなことはしない) |
■2回目ゲスト 田中元子さん(グランドレベル・喫茶ランドリー)
一過性の賑わいではなく、持続的なコミュニティを作るには?
そんな問いの1つのヒントとして、人の「やりたい」を一押しする補助線を作ることを教わった。
講演会の様子はこちらの記事でも
■3回目ゲスト 佐藤潤さん(株式会社ヤッホーブルーイング)
熱狂ファンがいるビール「よなよなエール」を手がけるヤッホーさん
個人的には、この講義は神回でした。
「働きがいのある会社」でもベストカンパニーに選ばれるなど、その取り組みは参考になることばかり。
組織運営、ファン作りに興味がある方はこちらで記事にしたのでどうぞ。
熱狂ファンが生まれる秘訣、ここにあり!? ヤッホーブルーイング流「知的な変わり者」を活かすチームづくりとは
■4回目ゲスト 小笠原祐司さん(bond place)
ワークショップの専門家、小笠原さんによる「ファシリテーションとは?」の講義。
この会は、体系的に場づくりを学びながらも、参加者同士でディスカッションしながら答えを出していきました。正解はないからこそ、共感できる形を自ら取り入れたり意識していくといいですね。
こんな感じで各グループでまとめていきました。
小笠原さんの記事はこちら
“学び合う場”が世代をつなぐ。一年で150件のワークショップを担当した「bond place」小笠原祐司さんに聞く、ワークショップデザインの基本とは
■5回目ゲスト 藤本遼さん(尼崎ENGAWA化計画)
兵庫県尼崎市を中心に活動されている藤本遼さんには、趣味・嗜好にとらわれない、多様な人たちを巻きこむコミュニティについてお話しいただきました。
「街で遊んでいたら仕事になった」
「生き方全てが仕事になってるなぁ」
という言葉が印象的でした。
藤本さんがコミュニティを運営する上で大切にしているのがこちら。
・一緒にご飯を食べる/作る ・巻き込むよりまずは巻き込まれる ・ビジョンや意義ベースで語らない ・ニーズは気にしすぎなくて良い ・「自分」としてしっかり出会う ・答えのないことこそ楽しむ ・心理的安全性(安心感)をつくる ・プロセスに関与してもらう/場を開く ・「ゆるさ」を担保する/境界を曖昧にする ・固定化させない/リセットする ・集まっているところに行く/集めない ・出口のデザインも忘れずに ・異質なものを混ぜる/同じもので集まらない ・成功例より失敗からみんなで学ぶ ・新しさは今あるものから生まれる ・関わる人ひとりひとりを大切にする ・じいちゃんばあちゃんには可愛がられる ・情報はしっかり届ける(発信者に集まる) ・音感や語呂を意識する・常に他者目線で考える |
コミュニティ虎の巻きとは?
6ヶ月の講座の最後には、みんなで学びをシェアし「コミュニティとはつまりなんだ?」を、とらの巻としてまとめてみました。
特に運営者にとっては多くの気づきがあるのではないだろうか。
1.コミュニティはつくるものではなく、生まれるもの。
社会的意義からコミュニティをつくろうとしない。
個々人の具体的なニーズから生まれる。
2.コミュニティの中心は人ではなく「想い」であれ。
なぜなら、想いが人を繋ぐから。
もし、想いに共感できないと感じたら無理して居続ける必要はない。
それがコミュニティの色を濃くしていく。
3.熱のないところに、人は集まらない
中の人が楽しんでいると、熱が自然と外に伝わり、人が引き寄せられる。
アツアツでも、じんわりでも熱があるのが大事。
4.何でも言える安心安全な場をつくろう。
そのためには食事と雑談が効く。
食事があれば、人が集まりやすく、初対面でも会話が生まれやすい。
雑談があれば、相手の新たな一面を知れて、お互いの理解が深まる。
5.補助線を引こう
人の「やりたい」を一押しする補助線を、あちこちに引き続けよう。
6.まずは、小さく試してみよう。
小さく始めて、失敗から学ぼう。
小さければ、失敗を恐れず挑戦できる。
最後に……コミュニティとは
「ひとりでも生きていける時代に、つながることの価値とは?」
という最初の問いに戻る。
ITの進化、雇用環境の変化、地域格差など、先が見えない時代には
今までの当たり前が通用しないかもしれない
だからこそ。自分が好きなこと、課題に感じていることなどのニーズに対して
共感や解決が生まれる、心理的安全が担保された環境を作ること。
または、そんな環境に入ることが価値になるのでは。
と個人的に感じた。
あなたは、どんなつながりに価値を感じますか?
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