北海道を世界に売り込む侍写真家ケント白石さん。Apple社に選ばれた美瑛の風景とは。

iPhoneやMacなどのApple製品の壁紙に「青い池」の写真が採用されたケント白石さん。

その背景には、北海道・美瑛の景色を人のRetina(網膜)で見た自然な色の世界を再現する、アーティストとしての姿勢がありました。

個人的には、ケント白石さんにお会いしたのは2回目。

この写真も本人に撮っていただきました。

それでは、インタビューをどうぞ。

ケント白石(ケント シライシ)
1960年札幌市生まれ。北海道美瑛町の「青い池」に初雪が降る写真で、ナショナル ジオグラフィック写真コンテスト2011のNature部門奨励賞を受賞。Apple製品のデスクトップピクチャにも採用されるなど、北海道の自然や文化を、世界に向けて積極的に発信している。
https://www.facebook.com/KentShiraishi
http://kentshiraishi.500px.com/

「小さい頃から写真が好きで、中学時代は写真部の部長になった程でした。でも、写真は趣味で楽しくやるだけに止まり、東京に出てから10年程は会社勤め。転機は、北海道 美瑛の風景写真で知られる写真家 前田真三氏の作品に出逢ってからですね。銀座の個展で作品を見た時に、一言『すごい』と驚きました」

Bathed in the morning sun

有名な観光地ではない田舎の原風景。そこにある何でも無い畑を切り取った写真を見て、人生で初めて人工物である畑が美しいと感じたケントさん。その後、前田真三氏が運営する北海道・美瑛の「拓真館」を頻繁に訪れたそうです。

しかも、前田真三氏がプロになったのは40代になってから、それまでは商社で働いていた人……。こんな人がいるんだとさらに驚き、ご自身も写真家の道を目指すことに。

The crown in the sun

2001年に独立して美瑛に移住したケントさん。オーベルジュてふてふ(料理宿)を経営しながら、今に至るまで美瑛を撮影し続けています。

写真家としての大きな転機は2011年6月28日。宿にやっとインターネット回線が引かれ、デジタルの世界で勝負できるようになってからのこと。

TEFUTEFU

「いつかは世界へ出たいという夢を持って「色」の勉強を独学で10年以上続けてきました。そして、ネットの開通と同時に、世界のプロ写真家が集うオンライン写真コミュニティ『500px.com』に青い池の写真を掲載したことで、人生が変わりましたね。
世界から注目を浴び、ナショナルジオグラフィック主催ナショジオ・フォトコンテスト2011へも応募。『Nature 自然・動物部門』の奨励賞に選出され、その後、Apple社にも写真が選ばれました」

Apple社に選ばれたのは、初雪が池に降る10月下旬に撮影した「青池と初雪」(英題:Blue Pond & First Snow)。カメラという機械で撮った写真を、いかに自分のRetina(網膜)で見ている自然な色の世界に近づけるかにこだわったこと。そして、前田先生のことを思い出して、自己満足はだめ、ビジネスは顧客満足、つまり相手の要求に応える写真を撮ることを常に意識したそうです。

The sunrise in the field

「運営している宿に来る台湾からのお客様はみんな北海道に憧れています。でも、北海道に来る外国人は最近やっと年間100万人を超えたくらい。一方で面積が九州とほぼ同じ位の台湾は年間600万人以上の観光客が訪れます。Appleの壁紙に選ばれたことをきっかけに、まずは自分の住んでいる美瑛という街を世界に売り込むチャンスだと感じました。実力あるアーティストなら写真で世界に売りこむことができる、と。

そのために、私はあるテーマを意識しました。青い池は、護岸工事を施した人口の池。畑も人が生きるために手を加えたもの。仕方なく自然を壊し、人が生きるために生まれた風景です。そのため『人が生きるための自然』をテーマに、この美しさを世界に伝えていきたと思っています」

牧場の朝

そして今後は、自分の住んでいる街や人を写真の力で世界にPRできる若い写真家(サムライフォトグラファー)を育てていきたいと語るケント白石さん。

「自己満足で完結せず、写真の力で何ができるかを考え、最終的には日本が世界にもっと理解されるための活動をしていきたいと思っています。そのために、写真はもちろん、映画や絵画など文化的なものを大事にしていきたいですね」

ケント白石さんの世界を視野にした夢は、まだまだ続きます。

 

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